任天堂の株主総会に行ってきました(2019年)
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今年も任天堂の株主総会に行ってきました。いつも開会直前のギリギリの時刻に入っていますが、今年は余裕を持って1時間以上前に行ったところ、駅から正門前まで社員と思しき人たちと一緒に歩くことに。
スーツ姿の人もいれば、Tシャツの人もいるという感じで、開発系の人はラフ、営業系の人はフォーマルという感じなのでしょうか。
建物の一階で議決権行使書を渡し、お土産を受け取るのですが、受付開始は9時からとのことで横にある待合スペースで時間を潰すことになりました。
すでに100人近い株主さんがいらっしゃっており、人気のほどが伺えます。
9時になり議決権行使書を渡してお土産を受け取り、エレベーターに乗り7階へ。
どこの総会でもそうなのですが、いたるところに社員の人がいて「おはようございます」と挨拶をしています。 あれはセキュリティー強化の意味合いもあるのでしょう。
早い時間帯に来たため、例年よりも前の席が取れました。 すると、経営陣側と株主側の席を分けるバリケード的な机の上にアミーボがたくさん並んでいました。他の株主の方もそれに気づいて前の方に来て記念撮影される方がたくさんいらっしゃいました。
こういう細かな気配りはちょっと楽しくなりますし、ゲーム会社の総会なんだと実感できて良いものだと思います。
なんとなく見回したのですが、出席株主数は例年よりもやや少なく感じました。天候の影響なのか、それとも他の要因か。
10時近くになり、奥の扉から経営陣の方が続々と一礼し入場してきます。
そして古川社長が一呼吸置いて、一段高い議長席に立ち開会を宣言。
おそらく何度も練習したのでしょう。かなりゆっくり落ち着いて話すことを心がけているように見えました。
業績の説明、監査役の説明、議案の上程(利益処分案と取締役の選任のみ)が行われます。
スイッチはかなり好調で、さらにスーパーマリオメーカー 2、ファイアーエムブレム風化雪月、ゼルダの伝説夢を見る島などで加速させていくといった説明でした。
その後、質疑応答に入っていくのですが、今年は20問を超える質問があり、また最後の方は「貴重なご意見として承る」という回答が結構連発していたこともあり、さらに任天堂のWEBサイトでも後日アップロードされるため、簡単にまとめて感想を書きます。
まず、最初の方の質問はクラウドやVRといった現在ホットなキーワードである分野について任天堂は遅れているのではないか、研究開発をしているのか、さらに本体そのものの性能差の問題はどうなのか(性能差があってAAAと呼ばれる世界的ヒット作が出にくい)いう懸念が相次いだことが印象的でした。
それに対して経営陣は任天堂はいち早くそういったものを研究している。ただ、商品化するためには「本当に面白いものになるのか」「価格は買ってもらいやすいものになるのか」という問題があり、商品化までは至っていないという姿勢でした。
性能差の問題については、その差を埋めるという訳ではなく、普及台数の多さ、さらに営業(の深耕)、開発環境の充実(unityやアンリアルエンジンなど一般的な開発エンジンで開発できる)によってサードパーティにもより多くのソフトを出してもらえるようにするということでした。
クラウドに対する質問に対して、宮本取締役がマイクを持ち「負けず嫌いの宮本として一言」とおっしゃって会場の笑いを取っていたのは面白かったです。
ただ、性能差問題は他社と比べてそう簡単に埋まらないし、任天堂としても埋めようともしていないだろうと思います。そして、海外のゲーム会社は特に最新の技術をいち早く自社のゲームに活かしたいと考えている流れがずっとある中で、この問題を解決するのは現状無理ではないかと思いました。
クラウドについては宮本氏は「全てがローカル(現在普及しているゲーム機)ということは無くなると思うが、一方でローカルも残っていく」という発言もしており、ここは面白いゲームのためには両方とも利用していくという氏ならではのバランス感覚なのかもしれません。
宮本氏はこの後も何度か発言されており、「ファミコン探偵倶楽部は名作だ、あのようなアドベンチャーゲームがまた出て欲しい」という質問に対しては「そこはファミコン探偵倶楽部ではなく(氏が作った)鬼ヶ島と言って欲しかった」とすかさず返し、またも笑いを誘っていました。
アドベンチャーゲームはローカライズが大変という問題があり、結構難しいらしいです。まあ、それほど広く売れるジャンルでもなさそうなので採算の面でも結構大変なのでしょうか。
ただ、そんな中でも「逆転裁判やレイトン教授などうまく作っているものもある」という発言もあったので、今後期待も持てるかもしれないと思いました。
宮本氏はこの後も「現在のコントローラーを持って画面を見てプレイするというスタイルを今後変えていくのか?」という質問に対しても、「バレてしまうので、今日の場にはふさわしくない質問かと思います」と言ってから回答したり結構ズバズバ言うので面白いです。
もちろん、その後きちんと現状を説明して質問者へのフォローも行なっていました。
これを見ていて思ったのは、創業者やあるいはベンチャー時代から携わってきた社長と大企業になってからの社長では立場上からなのか発言内容がかなり違うというか、前者は総会であっても遠慮なく割とざっくばらんに発言し、後者については慎重な発言になるという特徴があるなあと感じました。
任天堂で言えば、前者が岩田元社長や宮本取締役、後者が古川社長ということになるでしょうか。
カプコンの総会でも同じことを感じましたし、ソフトバンクグループの総会では柳井取締役が「僕も毎月の給料でソフトバンクGの株を買ってんですよ、僕も株主なんです」と言い、それに対して孫社長が「え、そうなの?知らなかったなあ(笑)」と応じて、さらに柳井さんが「だから株主の皆さんが孫さんの暴走を止めないとダメ」なんて発言で笑いをとる場面もあり、株主もそれを楽しみに出席している節が伺えます。
任天堂は今や世界的な企業でその社長の発言となれば、メディア等にいちいち取り上げられるので仕方ないことですが、来年以降はもっとざっくばらんでもいいのかなと思いました。
というわけで、色々な質問があった総会ですが、例年通り2時間で終了。 終了後はまたアミーボの撮影会となりました。