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カプコンの株主総会に行ってきました(2019年)

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今年もカプコンの株主総会に参加してきました。 場所は例年通り京阪天満橋駅のホテルでした。 今年は昨年より参加者が増えたような気がします。 株主分割で1単元の株価が安くなったからでしょうか。

これも例年通りですが、ここの総会はお土産はありません。そのかわりと言ってはあれですが、お茶やお水を飲むスペースが用意されていて、川沿いの景色を見ながらくつろぐことができるようになっています。

午前10時に御歳78の辻本憲三会長が開会を宣言します。しかし、本当に元気な方で、質問に回答された各取締役の中でも一番しっかりとした回答をされていて、単なる名誉職のお飾り会長ではないことを感じさせます。

まず、前期の概要についてなどの説明がありました。 簡単にまとめると、 ・デジタルコンテンツ事業(家庭用、PCゲーム等)は順調で海外にもブランドが浸透してきている

・アミューズメント施設事業も客層が増えたり(親子連れ、訪日外国人等)が増えて好調

・アミューズメント機器事業は業界の不況のあおりを受けて赤字なので立て直しが必要

・今後は従来のゲーム事業を世界的に拡大させていくことはもちろん、カプコンIP(キャラクター資産)を活かした事業やeスポーツ 事業にも力を入れて長期的成長を目指す

というところになります。

あと、重要なところとしては会社の定款を変更(追加)し、企業としてeスポーツ 事業に乗り出すことが明記されました。ストリートファイターなど格闘ゲームを中心にeスポーツ 事業を拡大させていこうという意図のようです。格闘ゲームはeスポーツ の世界ではマイナーという話もあり、ライバルに勝ち抜くのは容易ではないでしょうが…。

続いて株主からの質問ですが、以下の通りです。(メモをまとめたものなので、一言一句同じではありませんが、趣旨としては概ね外れてないと考えています)

質問1:「ベルトアクションコレクション」(2018年9月発売)は当初予定の販売本数に達しているか? また、この中に「天地を喰らう2」が収録されているが「天地を喰らう1」が将来移植される予定はあるか? 「カプコンネットキャッチャーカプとれ」(注:インターネット上でクレーンゲームが楽しめるスマホアプリ)の売り上げはどれぐらいか?他社の見通しでは苦戦しているとのことだがどうか?また将来の見通しは?

回答1:(江川陽一取締役)「ベルトアクションコレクション」の本数は順調である。「天地を喰らう1」は権利関係の問題があり予定は今のところは予定はない。 (注:今のところは移植はなさそうですが、将来的には何となく含みを持たせているような感じもしました)

(辻本春弘社長)ネットキャッチャーについては当初目標の5万人(注:ダウンロード数と思われるが詳細は分かりません)は達成した。具体的な売り上げについては他社さんとの関係などもあり、ここでは差し控える。

質問2:昔、優待をやっていたが、復活しないのか?優待をもらって孫に自慢したい。(同じ要望の人が何人かいたようでパラパラと拍手が起こる)

回答2:(野村謙吉取締役)株主還元の第一は配当、自社株買いとさせてもらっている。株主の方から優待の要望があることは承知している。

(辻本会長)優待については難しい問題である。確かにご質問の株主のように優待で喜んでいただける人もいるが、一方で「余計なことすんな」っていう株主もいる。(会場から笑いが起こる)

質問3:プラスチックゴミ対策はしているか? また米中貿易摩擦問題が当社に与える影響はあるか?

回答3:(辻本会長)プラスチックゴミ問題は確かに重要で、海が大変なことになっていると聞いている。米中貿易問題も大変な問題である。

(野村取締役)自然環境に優しい取組を重視している。プラスチック問題とは直接関係はないが、省エネ対策や社内の照明をLEDに切り替えるなどの対策を行っている。また、ゲームソフトも従来のパッケージ販売からダウンロードでの販売数が増えることでも環境負荷を減らしていく。

(根尾取締役)米中貿易問題は当社にはあまり直接的には関係ないと考えている。ただ、ファーストパーティと呼ばれる任天堂、ソニーなどのハードは中国で作られているものが多いと聞いている。この問題の影響でハードの市場価格が上がって買い控えが起こるといったことは可能性としてはあり得ると考えている。

質問4:ゲームのことはあまり知らないが、日経新聞で取り上げられたり、会社四季報で良いことが書いてあって株を買った。そして実際に業績が良いが、その割りに株価が上がらないのはなぜ?

回答4:(辻本会長)まず言っておきたいのは、カプコンは我々取締役の会社ではなく、今日来ているような株主のみなさんの会社であるということである。そして、短期では確かに株価は上下するが、株価も5年前からは倍になっている。できれば長期で見て欲しい。今日は株価もいいけど明日は下がって大損したというギャンブル的な株にはならないように経営したい。

質問5:万博やIR(統合型リゾート)で関西が注目されているが、関わっていくのか?また開発体制については今後どうしていくのか?

回答5:(江川取締役)ゲームは昨今、ボリュームの充実や品質の向上がさらに求められるようになっている。それに対応するために開発人員も数百人体制にするなど厚みを増している。また、各プラットフォーム向けに同時開発できるカプコン独自のゲームエンジンも開発した。こうしたことで、たくさんのプラットフォームに品質の高いゲームを提供できる開発体制の充実を図っている。

(野村取締役)2025年万博については現時点では当社は関わっていない。またIRについてもまだ詳細が固まっていないこともあり、現時点では関与していない。

質問6:私には大学生の息子がいて、親子で(カプコンへの)愛を持って株を買っている。 息子はオンラインゲームにハマっている。そのゲームのチーム内で出る意見だが、どうもカプコンは背景や(キャラクターの)ビジュアルが野暮ったい。どうにかならないだろうか? アミューズメントについてだが、爆発的(ヒット)機種を発明してほしい。また(スマホゲームでも)ポケモンGOに負けないヒット作を出してほしい。 あと、優待の質問とも被るが、多分無理だろうが今日帰るときにお土産はもらえないだろうか? クッキーとか缶詰とかでなくてもいい。むしろそのようなありきたりなものより、ここでだけもらえるものであればステッカー1枚、クリアファイル1枚でいい。それをもらえればさらにカプコンへの愛も深まる。(会場から大きめの拍手)

回答6:(辻本会長)カプコンは世界で通じるものを作ろうという気持ちを持っている。(得意でない)カードゲーム等(スマホゲーム等も含むと思われる)は注力はしない。得意分野で世界で展開していくということでご理解いただきたい。

(江川取締役)野暮ったいということだが、貴重なご意見をいただいた。カプコンとしてはユーザからの声を聞く機会を多数設けていて、そういった声を反映させていくようにしている。例えば発売前にユーザーテストを重ねて、そこでの意見なども反映させて投入、また遊んでいただいたユーザからのご意見を頂戴する窓口も設けている。そうすることで今後もより品質の高いゲームを投入していくので期待して欲しい。

(辻本社長)アミューズメントの位置付けとしてはもちろんヒット作を投入したいというのもあるが、当社とエンドユーザーが直接触れ合える場としても重視している。 (最近キーワードとしてよく取り上げられる)「コト消費」としての場でもあるし、例えばモンハンの新作を体験する場、あるいはクリエイターのトークショーを行う場などとしても重視している。そのような方向性でもアミューズメント施設を成長させていくつもりなので期待してほしい。

(野村取締役)先ほどの優待の質問と同じ答えになってしまうが、当社としては配当、自社株買い等での還元を考えている。

(辻本会長)総会では時間が限られていることもあり、回答できる質問にも限りがあるが、総務にいってもらえればいつでも回答するので、ぜひ問い合わせて欲しい。

以上で質疑応答は終わり、あとは議案を可決して散会となりました、所要時間はちょうど1時間でした。

優待やお土産についてはあまり期待はできないでしょう。すでにカプコンは東証一部で今のところこれ以上株主数を増やす必要はないと思いますし、お土産については廃止するのが現在の各企業のトレンドとなっています。 新たにお土産を配る必要性は薄いと思われます。

ただ、優待については可能性があるとすれば、東証が表明している市場統合により、カプコンがトップ市場(プレミアム市場)に株主数の不足を理由として入れないとなった場合に株主数確保目的で設定するといったことはあり得ますが、それほど高いかくりつではないと思います。

お土産、優待はなくても、ここは辻本会長を筆頭に株主の質問には積極的に答えたいと考えている節が伺えます。そのやり取りを見に行くだけでも参加する価値は十分にあると考えています。