ソニーの2017年度経営方針説明会について
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5/23にSonyの2017年度経営方針説明会が開かれました。ここ数年、復活が着実なものになりつつあるSonyがどのような方針を持って今年度、そして未来へ歩き出そうとしているのか、メディアでも注目されました。
ゲーム&ネットワークサービス分野についてまとめると
・2016年度のゲーム部門での利益はPS3の減少や販売費用(SGA)の増加、為替の影響などがあったもののPS4の好調で増益となった
・PS4の月間アクティブユーザ数(MAU)は7000万人超、PS Plusの会員数は2640万人に達した
・PS4Proは既存ユーザの乗り換えだけでなく新規ユーザも獲得している
・2017年度はユーザの拡大や1st、3rdパーティゲームのさらなる投入(過去最高数)でPS4エコシステム(ビジネスモデル)を拡大し、収穫期に入ることを目指す。
・PS4本体は2017年度で累計7800万台の販売を目指す
・ライブストリーミングテレビの「PlayStation Vue」で最高の視聴体験を提供し、規模拡大を図る
・PSVRはゲーム分野の拡大(より没入感のあるゲームなどで)とともにゲーム以外の分野についても事業機会を追求
・子会社のForwardWorksで日本、アジアでのモバイルコンテンツ事業を構築。これまでのSIEのIPに加え、新規オリジナルIPの創造、新たな遊び(カードゲームなど)の創造も行なっていく
・2017年度のゲーム分野は上記施策によりゲーム分野の営業増益を予想
となります。
質疑応答で重要と思われたものをあげると
Q:ForwardWorkが日本とアジアに限定している背景は?モバイルでの新規IPの立ち上げは難しいと言われているがどう考えるか。
A:モバイルゲームの普及割合が世界の中でも高い地域のため、まずそこで展開する。新規IPのモバイルへの導入は難しいかもしれないが、我々の知見や現地(アジア)デベロッパーの協力なども得てやっていきたい。
Q:PSVRのコストダウンへのボトルネック(阻害する要因)は何か?値下げは可能か?
A:数を追えばコストダウンの可能性は高まるが、まずはユーザに最高の体験をしてもらうために、ハードの改善などに視点を置いてやっていきたい。コストとの兼ね合いもあるので慎重に見極めながらやっていきたい。
といったところです。
他には「PSの持っているIPを映画化するようなことも考えている」
「VRはSIE中心にPS分野で育てていくのが第一であるが、SMEなど他のグループ会社にも参画してもらうつもり」(いずれも平井社長の発言)
「スポーツ審判判定支援のホークアイ(ビデオ判定システム)の分野ではVRを使ったコンテンツの開発を計画」(石塚執行役)
といったポイントがありました。ホークアイのコンテンツというのがよく分かりませんでしたが、VRを使って実際のテニスやサッカーでチャレンジシステムやビデオ判定みたいなことをアマチュアでもできる、なんてものが実現できたら非常に面白そうだと思います。ソニーのイメージセンサーやVRの技術を使えばそう遠くない将来、実現できるんじゃないでしょうか?
PS4の年度別販売台数は今年はピークアウトを迎えそうです。その中でライトユーザの取り込み、PS PLUSユーザの契約継続のためサービスの充実、VRのコンテンツ充実あたりがゲーム事業の収益安定化のためのポイントとなりそうです。
後継ゲーム機についてはPS4はもちろん、Vitaについても特に何も言及はなかったようです。Vitaは中小のゲームデベロッパー作品の受け皿担っている面がありますが、今後は日本一ソフトウェアなどとの協業が発表されたようにスマホなどのモバイルやPS4のモバイルプレイに置き換えていく戦略なのでしょうか。
今回の経営方針説明会の内容だけを聞くと、ゲーム事業については今あるPS4の資産を生かし、ユーザを逃さないようにしつつ、VRや新規IP創出でライトユーザの獲得も狙うという戦略のようです。
ゲーム以外の分野では
・映画、音楽IPの活用(ゲームなどに活かす)
・イメージセンサーのさらなる高機能化での活用範囲の拡大(自動運転など)
・スマートフォンの高性能化(高性能イメージセンサー、4Kディスプレイの活用)
・IOT分野の拡大(ウエアラブルデバイス、画像解析技術を使う)
・固定通信サービス(NURO)の拡大
・カメラ分野はプロ向けへの拡大
・テレビは最高画質のプレミアム4Kを訴求
といった形です。
SIEだけではなくSMEからもスマホゲームが発売されるなど、ソニーグループ全体がシームレスになってきているのを感じます。特にVRは全社一体でコンテンツの創出や推進に臨んでいくようですので、さらなる生産拡大と市場の広がりを期待したいと思います。